The 原寸大訴求。

コピーライターとよだ

2009年08月20日 18:18

上手いデザインを見つけました。





新聞一面の両端に届きそうな秋刀魚。

キャッチは「秋刀魚の長さが、胃に余る。」
サブコピーは「胃腸も身体も疲れ気味…【未病】」
説明文では、この流れを引き継ぎ、ちゃんとセールスポイントまで落とし込んでいます。

商品は養命酒。

養命酒の広告は、5年くらい前からキャッチで広告業界での注目を集めてきましたが、今回も上手いですね。

もし「そうかぁ?」と思う方がいらっしゃったら、代案を考えてみてはどうでしょう?
「秋刀魚の長さが、胃に余る。」
を、意味を変えずにもっと短く、もっと印象強くなるように、変えてみるのです。

恐らくこれでほとんどの方が、コピーにおけるプロとアマに違いに気づいてもらえるでしょう。

私も同じ経験を経て今に至り、今は自分より上手いことに嫉妬したり、自分より下手なのに自分より大きな仕事をしてることに嫉妬したり、どっちにしろ、嫉妬してます。(笑)

さて、今日の本題はコピーではなくデザインです。

秋刀魚のイラストを、その長さが際立つように、恐らく原寸大で新聞紙面に横たわらせています。
ではなぜそうしたのでしょうか?
それは
「秋刀魚の長さが、胃に余る。」
というキャッチとともに、胃腸の弱りを想起させ、「養命酒が欲しい」と思わせるためです。

これは、明解な企画のもとにコピーとデザインが相乗効果を生んだ、良い例と言えます。

もっともイラストではなく写真にした方が、シズル(質感)効果でもっと胃腸の弱りを想起させることはできたでしょう。
でもそこは、
「秋刀魚を悪者にし過ぎない」
という、魚屋さんへの配慮だと思います。

余談ですが、私は昔、一流クリエイターが教えるコピーライター養成講座にて、
「コピーとデザインで同じことを伝えるのはムダになる。付かず離れずの関係が良い」
という、あいまいな指導をされたことがあります。
でもこれは、「制作者の自己満足に陥りやすい」非常に危険な考えだと、僕は思います。
そして未だにちらほら見かける、
「全く広告効果に寄与するとは思えない、作った人達にしかその良さがわからない広告デザイン」
は、恐らく広告業界内で生まれた忌まわしい呪縛から逃れていないのでしょう。

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