2010年11月18日
JAAAクリエイティブ研究会@福岡 THE LAST
東畑さんの講演内容について。
この方の仕事は、やはり「オトナグリコ」
http://www.youtube.com/watch?v=rU3UMm-QqPA&feature=relatedに尽きます。
東畑さんは、
「従来の子供向けでなく、大人をターゲットにして“カリッとした食感”のある商品を開発した」
というグリコからのオリエンテーションに対し、
「じゃあ“カリッとした食感”が印象に残るように」
ではなく、まずこの商品開発を
「グリコが“おまけもやってる子供向けのお菓子メーカー”というイメージを覆す企業活動」
としてとらえたそうです。
そして
「子供の頃は身近な存在であっても、思春期を迎えるあたりから遠ざかり、その後戻って来ない・・・」
という今までの世の中におけるグリコのポジションを踏まえ、商品コンセプトから外れずに、今までの「グリコ」との違いを一言で言い当てる「オトナグリコ」という言葉を開発。
で、そこから“「サザエさん」に出て来る子供達が大人になって「オトナグリコ」を食べる”というCMアイデアが生まれたとのこと。
僕はこの話を聞いて、表現を考える前に、クライアントが目指す方向性において別の視点から検証できるコピーライターでありたいと、改めて思いました。
ただ、惜しむらくは「“なんでサザエさんなの?”と、よく聞かれ」てしまったことですね。
というのも、訴求点を押さえた上で自分が作ったエンターテインメントの世界に完全に引き込んでいれば、そういう冷めた「違和感」は生まれなかったと思うからです。
ではその「違和感」がなぜ生まれたのか・・・
僕の考えでは
「あ、大人になってる」
というコピーがわかりづらいのが原因だと思いました。
あのコピーが
「大人になってもヨロシクね」
で、商品かグリコのロゴマークが語っているように表現すれば、
「確かに自分も子供の頃は食べてたし、オトナになったタラちゃんとイクラちゃんも食べてることだし、今度食べてみようかな?」
という気分になるのでは・・・と思うのです。
まあそこまで従順なTV視聴者はいないかもしれませんが、「なんでサザエさんなの?という違和感」はかなり抑えられたはずです。
とはいえ、CMにおいて
「コピーをどこまでわかりやすくするか」という判断は、
「どこまで説明して、どこから感じさせるか」
と言い換えることもできる、非常にデリケートなものです。
というのも「説明」に偏れば
「君は僕と付き合うべきだ。なぜなら・・・」
という無粋な愛の告白のようになるし、「感じさせること」に執着し過ぎれば、結局言いたいことがわからない・・・という展開になってしまうからです。
そういえば会場に入る時にもらったプログラムの中に、東畑さんのこんな言葉がありました。
「理路整然と語れるほど、私も何かをわかっているわけではなく、ものすごく苦しんで仕事をしています」。
恐らくこの方が苦しんだのは、このあたりだと思います。
そして僕がもし同じ境遇に立たされたとしたら、同じように・・・いや、それ以上に悩み苦しんだに違いありません。
「オトナグリコ」の全てを知り尽くしたクライアントと、まだ何も知らない生活者との間で。。。
またこの方は、CM制作論よりも大枠であるプロモーションをテーマにして、
「クロスメディアからクロスソースへ」
という話もしていました。
要は、「売りたい企業」がいろんなメディアを有効活用しただけではもはや大きなプロモーション効果を期待できない。
これからは広告という企業からの情報発信だけに限らず、メディア(マスコミ)と口コミからの自発的な情報発信も加わってこそ、その期待が持てる・・・といったもの。
確かにここ数年の傾向ではあったので、この話には「納得」しました。
そしてこの方がスゴイのは、その考えを仕事で実践したことです。
「父の日」の新聞広告で、サッカー日本代表が5連敗した後に岡田監督の実の娘が書いた手紙を紹介したのです。
タイトルは「南アフリカの父へ」。
これはオランダ戦に勝った時、かなりネット上で口コミが流通したようです。
ただ、僕が「メディア(マスコミ)」と表記したことからもわかるように、この方も一般の方と同じように、「メディア」という言葉を「マスコミ」という意味でも「媒体」という意味でも使っていたことが残念でしたね。
「クリイター・オブ・ザ・イヤー」という称号を獲得できるほどの大物コピーライターであれば、一つの言葉を二つの意味で使うことで、コミュニケーションの精度やスピードが落ちてしまうリスクが生まれることには、敏感でいて欲しかったと思います。
JAAAクリエイティブ研究会@福岡 其の壱
http://kotonoharb.yoka-yoka.jp/e578595.html
JAAAクリエイティブ研究会@福岡 其の弐
http://kotonoharb.yoka-yoka.jp/e579159.html
JAAAクリエイティブ研究会@福岡 其の参
http://kotonoharb.yoka-yoka.jp/e580237.html
関連記事 http://kotonoharb.yoka-yoka.jp/e168936.html
ワンモア・プロフィール http://kotonoharb.yoka-yoka.jp/c6197.html
言ノ葉組 http://kotonoharb.yoka-yoka.jp/e483767.html
公式サイト/言ノ葉家 http://kotonohaya.aikotoba.jp/
広告宣伝活動に関する無料相談、制作物の無料診断、資料請求、訪問自己プレゼン、
言ノ葉組メンバーへのお問い合わせはコチラから。
※無料相談はメールと電話にて対応します。
無料診断はコピーをメインにデザインも診断します。
資料は私の詳しいプロフィールと料金・割引プランです。
訪問自己プレゼンでは、ネット非公開の制作物を、ほぼ全てご覧いただけます。
blogramランキング参加中。・・・お気に召されたらポチッとね!
この方の仕事は、やはり「オトナグリコ」
http://www.youtube.com/watch?v=rU3UMm-QqPA&feature=relatedに尽きます。
東畑さんは、
「従来の子供向けでなく、大人をターゲットにして“カリッとした食感”のある商品を開発した」
というグリコからのオリエンテーションに対し、
「じゃあ“カリッとした食感”が印象に残るように」
ではなく、まずこの商品開発を
「グリコが“おまけもやってる子供向けのお菓子メーカー”というイメージを覆す企業活動」
としてとらえたそうです。
そして
「子供の頃は身近な存在であっても、思春期を迎えるあたりから遠ざかり、その後戻って来ない・・・」
という今までの世の中におけるグリコのポジションを踏まえ、商品コンセプトから外れずに、今までの「グリコ」との違いを一言で言い当てる「オトナグリコ」という言葉を開発。
で、そこから“「サザエさん」に出て来る子供達が大人になって「オトナグリコ」を食べる”というCMアイデアが生まれたとのこと。
僕はこの話を聞いて、表現を考える前に、クライアントが目指す方向性において別の視点から検証できるコピーライターでありたいと、改めて思いました。
ただ、惜しむらくは「“なんでサザエさんなの?”と、よく聞かれ」てしまったことですね。
というのも、訴求点を押さえた上で自分が作ったエンターテインメントの世界に完全に引き込んでいれば、そういう冷めた「違和感」は生まれなかったと思うからです。
ではその「違和感」がなぜ生まれたのか・・・
僕の考えでは
「あ、大人になってる」
というコピーがわかりづらいのが原因だと思いました。
あのコピーが
「大人になってもヨロシクね」
で、商品かグリコのロゴマークが語っているように表現すれば、
「確かに自分も子供の頃は食べてたし、オトナになったタラちゃんとイクラちゃんも食べてることだし、今度食べてみようかな?」
という気分になるのでは・・・と思うのです。
まあそこまで従順なTV視聴者はいないかもしれませんが、「なんでサザエさんなの?という違和感」はかなり抑えられたはずです。
とはいえ、CMにおいて
「コピーをどこまでわかりやすくするか」という判断は、
「どこまで説明して、どこから感じさせるか」
と言い換えることもできる、非常にデリケートなものです。
というのも「説明」に偏れば
「君は僕と付き合うべきだ。なぜなら・・・」
という無粋な愛の告白のようになるし、「感じさせること」に執着し過ぎれば、結局言いたいことがわからない・・・という展開になってしまうからです。
そういえば会場に入る時にもらったプログラムの中に、東畑さんのこんな言葉がありました。
「理路整然と語れるほど、私も何かをわかっているわけではなく、ものすごく苦しんで仕事をしています」。
恐らくこの方が苦しんだのは、このあたりだと思います。
そして僕がもし同じ境遇に立たされたとしたら、同じように・・・いや、それ以上に悩み苦しんだに違いありません。
「オトナグリコ」の全てを知り尽くしたクライアントと、まだ何も知らない生活者との間で。。。
またこの方は、CM制作論よりも大枠であるプロモーションをテーマにして、
「クロスメディアからクロスソースへ」
という話もしていました。
要は、「売りたい企業」がいろんなメディアを有効活用しただけではもはや大きなプロモーション効果を期待できない。
これからは広告という企業からの情報発信だけに限らず、メディア(マスコミ)と口コミからの自発的な情報発信も加わってこそ、その期待が持てる・・・といったもの。
確かにここ数年の傾向ではあったので、この話には「納得」しました。
そしてこの方がスゴイのは、その考えを仕事で実践したことです。
「父の日」の新聞広告で、サッカー日本代表が5連敗した後に岡田監督の実の娘が書いた手紙を紹介したのです。
タイトルは「南アフリカの父へ」。
これはオランダ戦に勝った時、かなりネット上で口コミが流通したようです。
ただ、僕が「メディア(マスコミ)」と表記したことからもわかるように、この方も一般の方と同じように、「メディア」という言葉を「マスコミ」という意味でも「媒体」という意味でも使っていたことが残念でしたね。
「クリイター・オブ・ザ・イヤー」という称号を獲得できるほどの大物コピーライターであれば、一つの言葉を二つの意味で使うことで、コミュニケーションの精度やスピードが落ちてしまうリスクが生まれることには、敏感でいて欲しかったと思います。
JAAAクリエイティブ研究会@福岡 其の壱
http://kotonoharb.yoka-yoka.jp/e578595.html
JAAAクリエイティブ研究会@福岡 其の弐
http://kotonoharb.yoka-yoka.jp/e579159.html
JAAAクリエイティブ研究会@福岡 其の参
http://kotonoharb.yoka-yoka.jp/e580237.html
関連記事 http://kotonoharb.yoka-yoka.jp/e168936.html
ワンモア・プロフィール http://kotonoharb.yoka-yoka.jp/c6197.html
言ノ葉組 http://kotonoharb.yoka-yoka.jp/e483767.html
公式サイト/言ノ葉家 http://kotonohaya.aikotoba.jp/
広告宣伝活動に関する無料相談、制作物の無料診断、資料請求、訪問自己プレゼン、
言ノ葉組メンバーへのお問い合わせはコチラから。
※無料相談はメールと電話にて対応します。
無料診断はコピーをメインにデザインも診断します。
資料は私の詳しいプロフィールと料金・割引プランです。
訪問自己プレゼンでは、ネット非公開の制作物を、ほぼ全てご覧いただけます。
blogramランキング参加中。・・・お気に召されたらポチッとね!
Posted by コピーライターとよだ at 23:36│Comments(2)
│JAAAクリエイティブ研究会
この記事へのコメント
お疲れ様です。
毎度、毎度、おもしろい着眼点にハッとさせられます。
群馬は、動画の撮影で行ってきたのですが、なかなかのハードスケジュールでした。
確かに、メディア(媒体)とマスコミをごっちゃにする風潮は最近よくあるようですね。メディアトレーニングと言うと、模擬記者会見のロールプレイをさすことが多いけど、厳密に言うとネーミングは違いますよね。もっと狭義なところで、危機管理トレーニングとか呼ぶところもあるみたいですね。普通にマスコミ対応トレーニングでいいやんって感じだけど。
ちなみに、宣伝会議×TMeコラボ企画で、某企業向けに、来年1月にマスコミ対応トレーニング講座をやります。
毎度、毎度、おもしろい着眼点にハッとさせられます。
群馬は、動画の撮影で行ってきたのですが、なかなかのハードスケジュールでした。
確かに、メディア(媒体)とマスコミをごっちゃにする風潮は最近よくあるようですね。メディアトレーニングと言うと、模擬記者会見のロールプレイをさすことが多いけど、厳密に言うとネーミングは違いますよね。もっと狭義なところで、危機管理トレーニングとか呼ぶところもあるみたいですね。普通にマスコミ対応トレーニングでいいやんって感じだけど。
ちなみに、宣伝会議×TMeコラボ企画で、某企業向けに、来年1月にマスコミ対応トレーニング講座をやります。
Posted by TMe at 2010年12月01日 22:54
福岡・・・もとい、九州経済NOWのプロデューサーという経歴の持ち主から着眼点を評価されると光栄ですね。
また手前のおせっかいにも耳を傾けてもらい、感謝です。
「マスコミ対応トレーニング講座」、イイと思います!!
また手前のおせっかいにも耳を傾けてもらい、感謝です。
「マスコミ対応トレーニング講座」、イイと思います!!
Posted by コピーライターとよだ at 2010年12月04日 10:48