コピージアムのココが残念。

コピーライターとよだ

2008年05月01日 10:10

コピージアムの続きです・・・。


何が残念だったかと言うと、コピーの見せ方です。
日本の広告の歴史に確実に根を下ろしたであろう、名作キャッチフレーズの数々を会場に展示したのは良いのですが、キャッチが書かれたパネルの下には小さなカードがあり、そこには、企業コピーであろうと商品コピーであろうと、すべて企業名だけが書かれていたのです。

僕はこの時、50年間もコピーライター養成講座を運営して来た会社が、その50周年を記念するイベントにおいて、コピーというものをこんなにも雑に見せていることに、悲しくなりました。

因にこの会社は、日本の各都市でコピーライター養成講座を運営して来た間に、優れたコピーライターを輩出して来たのは事実ですが、一方で「卒業してもコピーライターになれない人の相談が後を絶たない」と社員が言っているのも、また事実なのです。
確かに卒業してもコピーライターになれるかどうかは「本人の才能と努力次第」というのは間違いないでしょう。
でも、そもそも「大学新卒か経験者以外ではコピーライターを採用しない広告会社がほとんど」という現実があるのに、「あからさまに夢や楽しさだけを煽って受講生を集める」という企業姿勢に、僕は違和感を感じていました。

ひるがえってこの「見せ方」です。
具体的には、「愛だろ、愛っ。」というコピーは、'90年代に売られていた、サントリーの「カクテルバー」という商品カテゴリーに対するコピーであって、サントリーの企業コピーではないのです。
にもかかわらず、「愛だろ、愛っ。」の下には「サントリー」だけで、「カクテルバー」がない・・・。
これでは「不思議、発見。」という西武百貨店の企業コピーと同様に、「愛だろ、愛っ。」がサントリーの企業コピーに見えてしまいます。

確かに、このコピー展を通りすがりに見ただけで、「一体何の広告か」も考えずに「やっぱ俺、こーゆーインパクトのある言葉を考えるのは得意だからコピーライター向きかな」と思って養成講座へ通い、「卒業してもコピーライターになれないから」と言ってこの会社に泣きつく若者なんて滅多にいないだろうし、いたらコピーライターには向いてないと思うのですが、

「誰に何を伝えるのか」
という広告づくりの礎をないがしろにしたコピー展にゲンナリしたと同時に、ウカツにコピーライターを目指して人生の回り道をしてしまう人を増やしてしまわないか、心配になる豊田でした。
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